花様年華(2000)
無人島に持っていく1本として私は、あえてこの途方もなくおしゃれな映画「花様年華」を選びました。理由は私がアジア映画に嵌ったきっかけの1本だからです。
舞台は1960年代の香港。アパートで隣同士になったチャウ(トニー・レオン)とチャン(マギー・チャン)はお互いの妻と夫が不倫をしていることに気付く。取り残された者同士、次第に共有する時間が増えていって…というストーリー。監督はウォン・カーウァイです。
圧倒的な映像美で、初めて観てから数年経った今でも断片的なシーンが脳裏に焼き付いています。マギー・チャンの何十種類ものチャイナドレス、そのドレスから見える足を包むストッキング(ふくらはぎの後ろに縫い目のラインが入っている古いタイプのもの)、行きつけの屋台へと続く階段ですれ違う2人の視線。この階段のシーンは特にお気に入りで、トニー・レオンの目の演技が、1度目にすれちがったときと2度目で確実に違う。さらに2度目と3度目も違うんです。トニー・レオンがこの役でカンヌの最優秀男優賞を獲ったというのも納得です。
チェロを主体とした音楽も素敵だし、建築・家具・髪型・風俗まで作り込まれていて、何度観ても発見がある映画。私にアジア映画の魅力を教えてくれたこの映画を持って行って、無人島での空白の時間を埋めたいと思います。
投稿者:いちこさん